50代の財布に“選ばれるべき素材”がある
――なぜ私はクロコダイルレザーを選ぶのか
執筆:高橋 鷹人(ラグジュアリー観察家)
連載にあたって、ご挨拶をひとこと
はじめまして。
今日からこのGOOD4THREEのコラムを担当することになりました、高橋鷹人(たかはし・たかひと)と申します。
かつて百貨店の外商部門で、30年以上にわたりラグジュアリーの現場に立ってきました。
そして今は、“モノの語り部”として、その背景にある価値や哲学を伝える仕事をしています。
このコラムでは、単なる商品の紹介ではなく、「なぜ、それを選ぶのか」という人生の側面に焦点を当てていきたいと思っています。
50代を迎えた男たちが、自分の人生に何を重ねて「本物」を選ぶのか。
そのヒントになれば幸いです。
「財布を変える時は、人生が動く時」
50代を過ぎた今、財布を選ぶ基準が20代、30代のそれとはまるで違うことを痛感する。
若い頃は流行りで選んだ。機能性や薄さ、ポイントカードが何枚入るかが基準だった。だが今は違う。
財布は、自分自身を語る“象徴”だ。
静かに、だが確かに、使い手の価値観と人生を映し出す。
本物は「選ばれる」側にある
私は百貨店の外商として長年、数多の高級財布を見てきた。
素材で言えば、カーフ、コードバン、リザード、シャーク…。
その中で、50代以上の男性が“自ら選びたがる素材”はほぼ一択になる。
それが、クロコダイル。
それは「見た目が派手だから」ではない。
“静かな威厳”があるからだ。
50代の財布にふさわしい3つの条件
クロコダイルを選ぶ人は、決して「見せびらかしたい人」ではない。
むしろ逆で、「何も語らずとも伝わるものを持ちたい」と考える人たちだ。
私の経験上、50代が財布に求める条件は3つある。
- 経年で深く、美しく育つこと
- 自分の代で終わらず、受け継がれる強度があること
- “選んだ理由”を自分の中で語れること
クロコダイルはそのすべてを満たしている。しかも、年を重ねた男の手にだけ似合ってくる。
若さの力では着こなせない、唯一のレザーだとすら思う。
「モノ」に込める、人生の節目
「そろそろ財布を変えようかと思って」という声は、実は人生の“決意”の裏返しだ。
昇進、独立、子どもの独立、離婚、定年――。
何かが終わるとき。何かを始めるとき。
その節目に、男は黙って“本物”をポケットに入れる。
だから私は、財布は“時間を内包するモノ”だと考えている。
持ち主の時間を吸い込み、記憶を染み込ませて、やがて「語らずとも伝わる何か」になる。
私がクロコに惚れた理由
初めてクロコダイルレザーの財布を触ったときのことを、今でも忘れられない。
その艶の奥に、無音の力を感じた。
キズさえ美しい。
手入れを重ねるほど、深く濃くなる艶。
まるで「時を重ねる覚悟」を試されているような感覚だった。
この財布に見合う男でありたい。
そう思わせてくれる“存在”が、他にあるだろうか。
最後に ― “人生の証”としての一本を
私は、財布を「持ち物」とは思っていない。
それは、生き方の鏡だ。
もし、この記事を読んで「そろそろ変えようかな」と思ったなら、
それはきっと、あなたの人生の歯車が、少し動き始めたサインだと思う。
その歯車にふさわしい一枚が、GOOD4THREEにはある。
選ぶのではない。選ばれる素材を、あなたの手に。
次回の更新も、どうぞ楽しみに。